水羊羹の名前の由来や歴史とは?福井県など冬に食べる地域がある理由も紹介

夏の定番和菓子といえば、やっぱり水羊羹。

プルンと柔らかで滑らかな舌触り、サッパリとした瑞々しさ、ほどよい甘さ加減がたまりません。
しっかりと冷やして食べるのが楽しみですよね。

そんな水羊羹ですが、いつ生まれて、どんな歴史があるのか気になりませんか。
また、なぜ夏に食べられるようになったのかも気になるところ。

そこでこのページでは、水羊羹の名前の由来や歴史などについて紹介していきますね。

水羊羹の名前の由来

雫水羊羹 中身の写真

羊羹には練り羊羹・蒸し羊羹・水羊羹があります。

水羊羹という名前は、練り羊羹・蒸し羊羹に比べて水分を多く含んでいることが理由です。

名前どおりでわかりやすいですね。

練り羊羹と蒸し羊羹を「羊羹」とし、水羊羹は区別されることもあります。

なお羊羹の名前の由来については、羊羹についての記事を見てください。

水羊羹の起源と歴史

のどごし一番本生水羊羹中身

現在の形の羊羹が日本で生まれたのは中世で、室町時代前期までには今の「蒸し羊羹」のつくりかたが生まれていました。

安土桃山時代に今の「練り羊羹」のつくりかたが生まれ、江戸時代に発展します。

そして江戸時代中期ごろ、水羊羹が誕生しました。

江戸時代の水羊羹は、蒸し羊羹と同じように小豆(餡)と砂糖・水に小麦粉、または葛粉・上新粉などを混ぜて型に入れて蒸し、冷やしてつくられていたのです。

また現代では水羊羹は夏の風物詩ですが、水羊羹が生まれた当初は、お節料理ともに食べられていました。

水羊羹は、練り羊羹や蒸し羊羹に比べて糖分が少ないです。
糖分が少ないので、日持ちしません。

だから寒い冬でないと、すぐ傷んでしまいます。

そのため水羊羹が食べやすいのは冬の時季なのです。

そして、冬の時季で一番豪勢なお節料理に出される風習が生まれました。

やがて水分が多くて冷たくてもおいしいので、夏にも売られるようになったのです。

しかし、さきほど紹介したように日持ちしないので、全国的に夏の定番菓子といえるほど定着はしていません。

明治時代以降、水羊羹も練り羊羹と同じように寒天を使うようになります。

寒天を煮出した水の中へ小豆(餡)と砂糖を入れ、冷やして固めるて水羊羹をつくるようになりました。

さらに冷蔵技術が発展し、現代では水羊羹が夏の定番和菓子として定着したのです。

なお昔の水羊羹は、竹筒などに入れて売られていました。

勉強堂 竹水ようかん
勉強堂「竹水ようかん」

現在は樹脂製容器などでの販売も多いですが、昔風に竹筒や竹筒風の容器に入れているものもあります。

なお羊羹全体の歴史については、羊羹についての記事を参考にしてください。

水羊羹を冬に食べる地域がある?

久保田の水羊かん 中身
福井の水羊羹(久保田 水ようかん)

夏の定番といえる水羊羹ですが、冬に食べるのが風習になっている地域があります。

その代表的な地域が、福井県です。

多くの地域では水羊羹は夏によく売れ、店によっては夏限定で販売しているほどですが、冬に食べるのが風習というのは不思議ですよね。

福井県の一部では水羊羹を通称「丁稚(でっち)羊羹」と呼んでいます。

一般的に「丁稚羊羹」といえば蒸し羊羹の一種を指すので、福井県特有の表現かもしれません。

昔、京都や近江八幡に奉公に来ていた福井県の丁稚が、里帰りするときに羊羹を土産として持って帰ったといわれています。

その練り羊羹に水を加えて改良したのが、福井の水羊羹のはじまりです。
また「丁稚羊羹」という名前も、丁稚の土産だったからともいわれています。

福井県の水羊羹は他地域の水羊羹よりも、糖度が低いという特徴があります。

そのため暑い時季よりも冬のほうが傷みにくく、水羊羹をおいしく楽しみやすいのです。

福井県では、江戸時代に水羊羹を冬に食べる習慣が現在でも残っている地域といえるでしょう。

福井県で冬に水羊羹を食べる習慣が残っているのは、気候のほかにもまじめな県民性も理由に挙げる説もあります。

えがわ 水羊かん 内装
福井の水羊羹(えがわ 水羊かん)

福井県の水羊羹の多くは、平たい板状で、平箱に入って売られています。
全国的にもめずらしいスタイルではないでしょうか。

なお福井県のほかに、京都府・滋賀県・岐阜県などの一部地域でも、冬に水羊羹を食べる風習があるのです。

理由として、近畿中部圏の一部に残る、丁稚奉公の文化の名残とする説がありました。

さいごに

やっぱり暑くなるとプルンとした舌触りと瑞々しさ、ほどよい甘さの水羊羹が欲しくなりますよね。

でも冬に水羊羹を食べる地域があると知り、驚きました。
調べてみると、ちゃんとした理由もあって納得です。

福井県の水羊羹も食べてみたくなりました

OMIYA!では全国の水羊羹・羊羹を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

参考:羊羹のおみやげ一覧

【参考文献】

  • 『日本国語大辞典』「みず-ようかん」の項
  • 『日本大百科全書』(ニッポニカ)「水羊かん」の項
  • 福井冬水ようかん紀行」株式会社カリョー 運営